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2018-10-31 | 食習慣

自分に合った乳酸菌を食べて腸内環境を改善しよう!

「生きたまま腸に届く」というフレーズに聞き覚えのある人は多いでしょう。ヨーグルトをはじめとする、乳酸菌の含まれる商品の宣伝文句のひとつです。

それにしても、「生きたまま腸に届く」とはどういうことでしょうか?

通常、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、食品のなかで生きて活動し、発酵を促しています。自家製ヨーグルトをつくったことのある人ならわかると思いますが、乳酸菌が働くことで発酵が進み、水分が減り、固形に近づいていきます。食べずに放置しておけば、発酵がさらに進み、やがて空気中の雑菌が混ざり、腐敗していきます。

それなら、私たちが乳酸菌を含む食品を食べると、乳酸菌は生きたまま体のなかで活動を続けるのかというと、必ずしもそうではありません。実はほとんどの乳酸菌は体内で死滅してしまいます。体内に入った食べ物は、消化の過程で胃を通ることになりますが、胃酸は大変強力な酸性であり、ほとんどの菌は胃酸によって死滅させられてしまうのです。ですから、胃という難関を通り抜けて、生きたまま腸までたどりつける菌というのは、耐酸性が高い菌でなければなりませんが、酸に強い菌はそれほど多くはないのです。

そこで、各食品メーカーは必死になって、胃酸に負けない強い菌を探しはじめたのです。

ここで、そもそも「乳酸菌」とはどういうものかを説明しておきましょう。

乳酸菌は「糖質から乳酸をつくりだす細菌の総称」です。1種類の菌を指すものではなく、発酵によって糖類から乳酸を産生し、悪臭の原因になるような腐敗物質をつくらないものが一般に乳酸菌と呼ばれています。現在確認されているだけで、約200種類もの乳酸菌が存在し、植物由来のものと動物性のものに大きく分けることができます。

私たちの体内にも乳酸菌は棲みついています。その多くが腸内にいて、「善玉菌」として腸内の環境と整える役割をしています。腸内細菌を大きく分けると、人にとって有益な「善玉菌」、悪い影響を与える「悪玉菌」、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な側になびく「日和見菌」がいるのですが、乳酸菌を代表とする善玉菌は、腸内でビタミンを生成したり、消化管の免疫力を高めたりする働きをしています。

腸内細菌の割合が、乳酸菌をはじめとする善玉菌優位の状態であると、食べたものの栄養はしっかり吸収され、老廃物は尿や便として排泄されます。しかし、体調が悪いとか、ストレスがたまっている、食事のバランスが悪い、生活サイクルが乱れているときには悪玉菌の比率が高くなってしまいがちです。すると、大腸で食べかすが腐敗し、毒素が発生します。

これらの毒素は、腸管を傷つけて下痢や便秘を引き起こします。また、毒素の成分は、血液を通して全身に運ばれてしまうために、さまざまな病気の原因にもなってしまうのです。とくに、便秘がちな女性で、膀胱炎や膣炎になりやすい人は、腸内細菌のバランスが悪い可能性が高いので注意してください。

つまり、腸内に善玉菌が増えれば、腸内環境が整うということになります。

さて、ここで「生きて腸まで届く」が問題になってきます。いくら乳酸菌の含まれた食べ物を口にしても、菌が胃で死滅させられてしまったら意味がない、そう思えますよね? そう考えたからこそ、胃酸に勝つ乳酸菌を各メーカーが必死に探しているのです。

ところが、最近の研究で、乳酸菌が胃酸で死滅させられて腸に届いたとしても、乳酸菌の死骸が腸管に刺激を与えて、生きている菌と同様の作用をすることがわかってきたのです。すべてが解明されたわけではありませんが、現状では、「生きたまま」でなくても、乳酸菌の含まれた食べ物は、腸内環境を整える一助になると考えて良いようです。

ただし、注意して欲しいのは、乳酸菌の含まれたものを大量に食べたからといって、いきなり腸内環境が激変するわけではありません。外部からは取り込んだ乳酸菌がそのまま腸内に棲みつくわけではなく、現在、腸内にいる善玉菌に働きかけて、善玉菌が増えるように働きかけるだけです。ですから、乳酸菌は毎日摂取して、少しずつ腸内環境を整えていく必要があるのです。

また、乳酸菌は種類によって、体に与える影響が違います。各メーカーが研究を重ね、それぞれ効果のある菌を見つけていて、その健康効果は化学的に証明されているものもたくさんあります。数年前にインフルエンザ予防の効果をうたった乳酸菌飲料が発売され、爆発的な人気となりました。

また、2018年の3月には大手食品メーカーが、「ビフィズス菌A1」という乳酸菌に、「軽度認知障害が疑われる人の認知機能を改善する作用がある」ことを確認したと発表しました。今後も、新たな効果をうたう商品が登場してくるはずです。もちろん、薬ではありませんから、誰もが必ず効果を感じられるわけではありません。人によって菌との相性もありますから、いくつか試してみて「便通が良くなった」「肌がきれいになった」など、効果を感じられたら、その商品を続けて摂取していくのが賢い方法でしょう。

以下は、多くの論文から、主な乳酸菌の健康効果がうたわれているものを抜粋したものです。乳酸菌の含まれた商品のパッケージに、乳酸菌の名称が表示されているものも数多くありますから、購入の際の指針にしてもらえればと思います。健康効果については、あくまでも研究の成果であって、その乳酸菌を含む製品を摂取すれば必ず得られるという効果や効能ではありません。また、効果を実感するには、適量を毎日続けて摂取する必要があることはお忘れなく。

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〈腸を整える作用の強い乳酸菌〉

▼ビフィズス菌BB536菌

日本で初めてヨーグルトに使われたビフィズス菌。強い殺菌作用があり、悪玉菌の繁殖を抑える。特定保健用食品の関与成分にもなっており、世界各国に輸出されている。O-157の感染を防ぐ作用がある。

▼乳酸菌LGG株

研究論文や臨床研究が1300以上もある、研究の盛んな乳酸菌。初めて特定保健用食品の関与成分になった乳酸菌として知られている。便通の改善のほか、アトピー性皮膚炎などのアレルギー予防や、皮膚の毛穴改善など美肌効果もある。

▼ビフィズス菌Bifix(GCL2505株)

マウスによる実験で内臓脂肪の蓄積抑制、糖代謝の改善が見られた。生きて腸まで届き、腸でスピーディに増殖することから、他の乳酸菌に比べて整腸効果が早く出る。機能性表示食品の関与成分。

▼ビフィズス菌BE80

酸に強く、腸まで生きて届く。女性と高齢者において、便の腸管通過時間を短縮することがわかっており、便秘解消や腸内にたまったガスの解消に効果がある。

▼LB81乳酸菌

ブルガリア菌2038株とサーモフィラス菌1131株を併せてLB81菌と呼んでいる。トクホの関与成分にもなっている。悪玉菌の数を減らすだけでなく、悪玉菌が出す有害物質の量を減らす効果もある。また、腸管内の「抗菌ペプチド」を増やし、腸管バリアの機能を高めることがわかってきた。

▼クレモリス菌FC株

カスピ海ヨーグルトの中心となっている菌。高い整腸作用による腸内環境と排便状況の改善が認められている。アトピー花粉症などのアレルギー症状の改善、インフルエンザなどのウイルス性疾患の予防、中性脂肪の低減血糖値の上昇抑制による糖尿病の予防なども期待できる。

▼ビフィズス菌BB-12

世界的に使われている乳酸菌。学術論文も多い。生きたまま腸まで届き、腸内環境を整え、腸の蠕動運動を活発化させる。胃のむかつき、免疫力向上、アレルギー症状の緩和なども期待できる。

▼NY1301株

特定保健用食品の関与成分。胃酸や胆汁酸に強く、高い確率で生きたまま腸に届き、腸で増えやすいことが確認されている。善玉菌と合わせて37℃の環境で培養したところ、善玉菌が約20倍に増加した研究結果がある。

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〈免疫力を高める乳酸菌〉

▼R-1乳酸菌

ブルガリア菌の一種。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させ、免疫力を向上させる。高齢者や小中学生を対象にした実験で、インフルエンザや風邪の感染率の低下が認められている。

▼ラブレ菌

京漬物「すぐき」から発見された植物由来の乳酸菌。小・中学生を対象とした大規模実験で、インフルエンザの感染率の低下が認められている。便通の改善はもちろん、肩こり、腰痛、手足の冷えの改善効果もある。

▼ビフィズス菌SP株(SBT2928株)

大腸に定着し腸内環境改善する。ウイルスに感染した細胞やガン細胞を攻撃するNK細胞の活性化、病原性大腸菌O-157の予防にも効果が期待できる。

▼ST9618株

がん細胞やウイルス感染細胞を見つけ、攻撃をするNK細胞を活性化し、免疫力を高める。風邪症候群の予防と症状の低減が確認されている。

▼シールド乳酸菌

NK細胞を活性化し免疫力を高める。マウスによる実験で、肺でのインフルエンザウイルスの増力が抑制され、症状が軽減された。

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〈がん予防・アンチエイジングに効果のある乳酸菌〉

▼L.カゼイ YIT 9029(乳酸菌Lシロタ株)

特定保健用食品の関与成分にもなっている乳酸菌。大腸がん、乳がん、膀胱がんの予防、腸内環境の改善、NK細胞の活性化に加え、有害物質を菌体に吸着して排泄する効果も期待できる。

▼プラズマ乳酸菌

マウスによる実験で、加齢による毛艶の劣化、筋肉量の減少などが抑制できると判明。また、感染症が起きたときにだけ活性化する「プラズマサイトイド樹状細胞」を、健康な状態でも活性化させる唯一の乳酸菌。風邪、インフルエンザ、ロタウイルスなどの感染を予防する。

▼ビフィズス菌LKM512

酸に強く、空腹時でも胃酸によるダメージを受けず腸に届く。腸内を酸性に傾け、善玉菌を増やす助けをするとともに、大腸がんやアンチエイジングに効果のある「ポリアミン」という物質をつくる。

▼乳酸菌PA-3株

細胞の新陳代謝に使われる体内のプリン体は、過剰摂取すると血清尿酸値の上昇、高尿酸血症や痛風発症リスクになる。乳酸菌PA-3株は、菌が増殖するときにプリン体を取り込むことがわかっており、痛風患者の血清尿酸値を改善することが確認されている。

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〈抗アレルギー効果のある乳酸菌〉

▼リフレクト乳酸菌(T-21)

一日あたり数千億個の菌を摂取することが可能な乳酸菌で、一般的な乳酸菌の半分の期間で効果を実感できる。花粉症やハウスダストなどが原因の通年性鼻炎であれば、3~4週間、花粉症であれば4週間食べ続けるのがおすすめ。

▼L-92乳酸菌

免疫細胞の働きを正しく導き、アレルギー症状の原因となる物質の産出を抑制する。小児アトピー性皮膚炎、成人アトピー性皮膚炎でも、検証実験が行われ、炎症の強さと面積、かゆみに対して有効性を示す結果が出ている。マウスによる実験ではインフルエンザの予防効果も認められている。

▼KW乳酸菌(KW3100株)

免疫細胞のバランスをとり、アレルギー症状を改善する。マウスによる実験では、くしゃみの回数、鼻をひっかく回数が軽減することがわかっている。

▼L-55乳酸菌

生きたまま腸まで届き、腸管上皮細胞での定着率が高い。マウスによる実験で、花粉症やアトピー性皮膚炎の症状が緩和された。

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〈内臓脂肪を減らす乳酸菌〉

▼ガセリ菌SP株

内蔵脂肪を低減する効果がある。マウスによる実験で、インフルエンザ予防と、インフルエンザの症状を軽減することが確認されている。腸管への定着性が非常に高い点も特徴。

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〈ピロリ菌を撃退する乳酸菌〉

▼乳酸菌LG21株

耐酸性が強く、酸性の環境でも成長し、胃の細胞に定着しやすい。ピロリ菌の増殖を阻害し、菌数を1/10に抑制するというデータもある。胃炎や胃潰瘍などの原因が見つからないのに胃もたれや胃の痛みが続く人の症状を軽くする。

▼ビフィズス菌B.ビフィダムY株

胃で働くビフィズス菌。胃の機能を回復、ピロリ菌抑制作用に加え、ストレスを軽減する作用がある。ストレスによって上昇する、唾液中のコルチゾール濃度の低下が確認されている。

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〈ストレスを軽減する乳酸菌〉

▼ガセリ菌C-23株(プレミアガセリ菌CP2305株)

ストレスが原因の腹痛の改善や、ストレスマーカーである唾液中のコルチゾールの分泌が抑制させることが確認されている。睡眠時の脳波調査では、入眠までの時間と、睡眠中の深い眠りの割合が改善することがわかっている。また、自律神経と関わる脳の部位で血流が改善され、副交感神経の活動が増加することも確認されている。

▼L.ガセリ乳酸菌(OLL2809株)

血中コルチコステロンの増加をゆるやかにして、脾臓のNK細胞の活性が低下するのを抑えてストレスを軽減する。また、激しい運動による免疫低下抑制、アレルギー症状軽減、子宮内膜症の進行を抑制する効果もある。

2018-10-26 | 食習慣

血液サラサラ、抗ウイルス対策、デトックス効果、老化予防に効果あり。日本の伝統発酵食「納豆」を食べよう!

昔から、体に良いと言われる「納豆」。日本ならではの食品の代表ともいえる納豆は、大豆を納豆菌で発酵させたものです。以前から体によいとは言われていましたが、近年の発酵ブームを受けて、改めて健康効果が見直されています。和洋中を問わず、さまざまな料理に利用できる点も注目すべき点。毎日食べることで健康が増進されるという研究結果が多数発表されていますから、ぜひ、食べ続けたいものです。今回は、納豆について、少し踏み込んでお話してきます。

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納豆の起源には諸説あり、その中でも最も古いものは、大豆の栽培が始まった弥生時代までさかのぼります。納豆の原料である大豆は、生で食べられないために茹でて食べられていました。その大豆が、床に敷かれたワラの上に落ち、温まって自然発酵したのが最初の納豆ではないかと言われています。納豆について書かれた書物は、平安時代のものが最古ですが、当時の納豆は今、私たちが食べている糸引き納豆とは違い、大豆を麹菌で発酵させたあと、乾燥・熟成させたものだったようです。

今のような糸を引く納豆が庶民の口に入るようになったのは江戸時代ではないかと推測されています。ただ、当時は、ご飯にかけるのではなく、味噌汁に納豆を入れた納豆汁として食べていました。こうして歴史をみていくと、納豆は日本独自のもののように思えますが、中国や東南アジアにも糸を引き、独特の匂いのする納豆は食べられています。とはいえ、納豆だけをそのまま食べるというスタイルは日本だけのようです。他の国では、油で揚げるか、野菜や魚と一緒に炒めて食べるのが一般的です。

納豆ならではのネバネバと匂いは「納豆菌」がつくり出しています。納豆菌は枯草菌(こそうきん)の一種で、土壌や植物の中に存在し、空気中にも常在している菌の一つです。日本産の稲のワラ1本には、約一千万個の納豆菌が「芽胞(がほう)」という形で付着しています。芽胞というのは、菌が休眠しているような状態で、その場所の環境が菌に適していない場合に形成される特殊な細胞構造のことです。温度や湿度が整い、増殖に適した環境になると発芽して菌本来の働きを始めます。この特性から、安定性のある強い菌として知られています。

真空や冷凍、100℃の煮沸でも死滅しませんし、酸やアルカリに対しても耐性を持ちます。人間の致死量の何千倍もの放射能を浴びても生き残れるとか、栄養なしでも100万年生きられるなど、推測に過ぎない意見もありますが、それだけ強い菌というわけです。

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納豆の種類は、使用する大豆の大きさや形状で分類されます。

「大粒納豆」は、粘りが少なめでかみ応えがあります。そのため、ご飯にかけるよりはそのままおかずとして食べられることが多いようです。

「小粒納豆」は、水戸で小粒大豆の生産が増えたことで使われることが多くなりました。粘りが強く、ごはんにかけて食べるのが最もおいしいとされています。

納豆巻きなどにも使われる「ひきわり納豆」は、大豆を砕いてから発酵させます。大豆の皮がないため、発酵スピードが速く、大粒納豆や小粒納豆とは食感も風味も違います。東北地方ではひきわり納豆がよく食べられています。

また、納豆に別の食品を加えた伝統食もあります。

山形県の米沢地方で昔からつくられている「五斗納豆」は、ひき割り納豆に米麹と塩を加え、発酵・熟成させたものです。刻みショウガや七味唐辛子、ニンニクなどを薬味として入れることが多いようです。

茨城県水戸市の郷土料理「しょぼろ納豆」は、納豆に塩漬けした切干大根を刻んで入れ、醤油や調味料で味を調えたものです。「そぼろ納豆」と呼ばれることもあります。酒のつまみやお茶漬けの具として食べられることもあるようです。

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では、いよいよ納豆の健康効果についてお伝えしていきましょう。

原料の大豆は、栄養素のうち35%がたんぱく質。「畑の肉」と呼ばれるほど高い栄養価を誇ります。私たちの体は、筋肉も骨も内臓も、細胞レベルからたんぱく質でつくられています。たんぱく質を構成するのは「アミノ酸」ですが、アミノ酸のうち、体内ではつくることができず、食品から摂取しなければならないものがあります。これらは「必須アミノ酸」と呼ばれ、8種類が確認されています。大豆には必須アミノ酸が豊富に含まれているため、たんぱく質のなかでも非常に良質で、私たちの健康を支える大切な食材と言えるのです。

たとえば、100g当たりのアミノ酸含有量を大豆と豚肉で比較してみると、成長ホルモンに関与する「イソロイシン」は大豆で1800mg、対する豚肉は990mg、筋肉をつくる重要な役割をする「ロイシン」は、大豆で2900㎎、豚肉では1700㎎、うつ病を予防すると言われる「フェニルアラニン」は大豆で3300㎎、豚肉は1500㎎と、いずれも大豆のほうが優れていることがわかります。

体にとってなくてはならい必須アミノ酸をたっぷり含む大豆を「発酵」させたものが納豆です。発酵とは、目に見えない小さな微生物の働きのこと。地球上にはさまざまな場所に微生物が生きており、その微生物が食品の成分を分解したり、合成したりします。こうしてできたものが、一般的に「発酵食」と呼ばれます。

発酵に関わることのできる微生物は、総称して「発酵菌」と呼ばれます。なかでも良く知られているのが、酵母、細菌、カビです。納豆の発酵菌は前述した通り、「納豆菌」と呼ばれるものです。

納豆菌は、温度や湿度が納豆菌にとって心地よい状態であれば、たった一つの菌が15時間後には10憶個に成長すると言われています。それだけのパワーを持つ納豆菌は、多くの酵素をつくり出すことでも知られています。大豆のたんぱく質や糖、脂質を分解し、納豆独特の匂いや、ネバネバを生むのも、納豆菌がつくる酵素の力です。

納豆菌がつくりだす酵素のなかでも、特に注目すべきは「ナットウキナーゼ」という酵素です。この酵素は、血管内にできた血栓のもととなる「フィブリン」というたんぱく質を分解する働きがあることで知られています。食品の中で、血栓を直接溶かす働きがあるのは納豆だけ。血液をサラサラにして血圧を下げ、動脈硬化や心筋梗塞を防ぐ効果が期待できるのです。

また、納豆のネバネバをつくり出している成分は「ポリグルタミン酸」と呼ばれます。この成分もとても優秀で、胃壁を守り、腸管の老廃物を排出する手助けをしてくれます。

納豆の健康効果はまだまだあります。

「イソフラボン」は免疫を上げ、ホルモンバランスの乱れを整え、美肌効果を発揮しますし、「大豆レシチン」は、記憶や判断などの情報伝達物質に変化し、脳機能を高めます。老化による物忘れや学習能力の低下を抑制するとも言われています。

大豆が納豆菌で発酵する際に発生する「ジピコリン酸」は、強い抗菌作用、抗ウイルス作用を持っていて、体の免疫力を高めます。病原性大腸菌O-157への抗菌効果も認められているほどです。

大豆に含まれるアミノ酸の一つ「アルギニン」は、傷ついた肝臓の細胞を修復し機能を回復させる働きがあります。また、納豆菌は腸内で骨を形成するビタミンKをつくり、骨粗鬆症を予防します。

さらに、納豆菌のすごいところは、胃を通るときには、芽胞をつくり休眠状態になり、胃酸に溶かされず生き延びる点です。小腸から大腸に入って、ようやく発芽し、腸の中で善玉菌が増えるのを助けてくれるのです。

こうした健康効果が認められている納豆ですが、多くの種類からどれを選んだらよいのかわからないという声も聞かれます。豆の大きさだけでなく、包装の違い、たれの味など、その種類は驚くほど多彩です。納豆自体の健康作用としては、おそらくどれも大差ないと思います。選ぶ際のポイントとして着目して欲しいのは大豆の種類です。農薬のことを考えると、国産の大豆であることは一つポイントになるでしょう。アメリカ産の大豆は94%が遺伝子組み換えの大豆です。

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次のポイントは包装です。昔ながらのワラに包まれたまま発酵させた納豆は、ワラ独特の香りがして食欲をそそります。同時に、本来の納豆臭さをワラが吸収してくれるので、朝食べるには適しているでしょう。注意点としては、ワラについている菌で二次発酵が進みますから、賞味期限内に必ず食べるようにしてください。

最後はタレですが、梅、ネギ、卵など、各メーカーが工夫したたれを添付して競い合っています。しかし、こちらに関しては健康をより重視するのであれば、使用しないほうが適切かもしれません。添付されているタレは、いわゆる調味液ですから、天然のものではなく、塩分や糖分を余計に摂取することになります。本当に美味しい納豆であれば、醤油を1~2滴かけただけで十分美味しく味わえるはずです。

また、どうせ食べるなら、「納豆」の旨味と栄養をパワーアップさせる食べ方にチャレンジしてみましょう。納豆をかき混ぜるのは何回がよいのか。さまざまな意見が言われていますが、これは好みの問題です。実際試してみると、混ぜれば混ぜるほど滑らかになり、美味しく感じる人が多いかもしれません。

混ぜる前には薬味や調味料はいれないほうが、粘りが出ます。また、薬味をいれる場合は食べる直前にしましょう。薬味から出る水分が、旨味を薄めてしまいます。

卵を混ぜて食べるのも美味しいですが、ここでひとつ注意があります。納豆に卵を入れる場合は黄身の部分だけにしましょう。卵白には「アビシン」というたんぱく質が含まれているのですが、納豆に含まれるビタミンB群の一つ「ビオチン」が結合すると、体に吸収されないまま排泄されてしまいます。ビタミンB群は疲労回復やストレス解消に効果を発揮する大切な栄養素ですから、納豆の栄養価を十分に取り入れるためにも、卵白とは混ぜないほうがよいのです。

また、納豆を食べるのは夕飯がおすすめです。ナットウキナーゼは、血液をサラサラにして血管の病気を予防する大切な働きをしてくれますが、血管が汚れやすいのは寝ている間。その間にナットウキナーゼの成分が体内にあることが大事です。

ナットウキナーゼの効果は食後少ししてから、10~12時間くらい継続すると言われます。心筋梗塞が起こりやすいのは朝4~5時、狭心症が起こりやすいのは朝6~8時ですから、夜8時ごろまでに納豆を食べると、これらの病気の発症リスクを抑えられるのです。

今回お伝えした納豆の健康効果は、実際に論文で発表されている効果効能をまとめたものです。科学的に健康効果が実証されているのですから、食べて損はありません。インフルエンザが流行するこれからの季節、抵抗力を高めるためにも「夕飯に納豆」を続けてみてはいかがでしょう。

2018-08-31 | 陶板浴, 食習慣

減塩・糖質ゼロ・ノンカロリーは体に悪い?うまいネーミングにだまされないで!

飲料や加工食品を選ぶときに、何を基準に選ぶでしょうか?

健康志向の高まりから、「減塩」「糖質ゼロ」「カロリーオフ」など、さまざまな表示が商品ラベルに貼られ、ついつい手が出てしまうことがあります。でも、それって本当に正しいのでしょうか?

世の中には「正しい」とされることが間違っていたり、「良い」とされるものが悪いものだったりというのはよくあることです。とくに健康や食べ物に関しては、噂が先行して何が正しいのか見えなくなることもしばしばです。玉石混淆の情報から、何が真実なのかを見極めるのはとても難しいですよね。

たとえば「糖類ゼロ」「無糖」の表示。

コーヒーや紅茶などの飲料でよく見かけます。まるで糖類を使っていない商品のように思えますが、100㎖あたり0.5g未満の飲料製品には表示が許可されていますし、「微糖」や「低糖」は、100㎖あたり2.5g未満であれば表示できます。

一般的な缶コーヒーは185㎖入りですから、5g近くの砂糖が入っていても「微糖」「低糖」とうたえることになります。ちなみに、角砂糖1個が3~4gですから、1.5個程度の角砂糖が入っていることになります。

「甘さ控えめ」という表現も微妙ですが、こちらは砂糖の含有量を示すものではなく、あくまでも味覚上「それほど甘くない」ことを示しているだけです。

では、「減塩」の表示はどうでしょうか。健康診断の結果を気にして少しでも塩分をカットしようと「減塩」の調味料を積極的に取り入れている人もいると思いますが、ぜひ考え直してもらいたいと思います。

そもそも、醤油や味噌、マヨネーズ、ケチャップ、ソースなどの調味料は、塩分量を調整して、ある程度日持ちのする完成品になっています。塩は防腐剤の役割をするからです。そこから塩分をひいてしまったら、保存のきく調味料として成り立たなくなってしまいます。

そのために、減塩の商品には防腐剤、PH調整剤、着色料などの食品添加物が入れられているのです。食品添加物を悪者扱いするつもりはありませんが、本来、入れる必要のなかった化学物質を添加したものをわざわざ摂取するのは本末転倒です。だとしたら、出汁を使って味を深め、調味料の量を少なめにするとか、料理に調味料をかけてしまうのではなく、小皿に調味料を入れ、少しずつ添付して食べるようにするほうが、健康的に減塩できます。

では「ノンオイル」という表示はどうでしょうか? ドレッシングでよく見かける表示ですが、確かに油類は使わずにつくられていますが、ノンオイルドレッシングの成分表示を見ると、「ブドウ糖」や「果糖ぶどう糖液」などの文字が並び、オイルを使ったドレッシングに比べて3倍もの糖分が含まれているとも言われます。ですから、ダイエットにノンオイルドレッシングはNGです。

「ノンカロリー」「ゼロカロリー」についても検証しましょう。

厚労省の基準では、5キロカロリー未満であれば「カロリーなし」とうたってよいことになっています。ですから、飲料であれば100mlを基準にして考えて、4.9kcalのものは0kcal」と表示できます。

つまり、500ml入りのペットボトルであれば、25kcal未満であれば「ノンカロリー」や「ゼロカロリー」と表示できるのです。

加えて、カロリーゼロ商品には人工甘味料が使われている点にも注目して欲しいと思います。成分表示を見ると、「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」「ネオテーム」といった人工甘味料の名前が記載されていることが多いのですが、これらには「中毒性」があり、一度口にすると「また食べたい」「もっと飲みたい」という欲求が出ると言われています。同時に、脳からはドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、食欲が増進してしまい、ダイエットに反する「食べたい衝動」が生まれてしまうのです。こうした衝動が続くと、うつ病へ移行する可能性もあると言いますから、人工甘味料を「甘く」みてはいけません。

また、人工甘味料のとりすぎは、体調不良を起こす原因にもなることが、世界各国の研究によってわかっています。ハーバード大学が20年にわたる追跡調査をした報告では、ダイエットソーダを1日2缶以上飲んでいた人は、飲んでいなかった人に比べて、腎機能が30%低下していましたし、コロンビア大学の調査では、ダイエットソーダを毎日飲む人は、飲まない人に比べて、脳卒中や心筋梗塞などを発症するリスクが43%も高かったそうです。

消費者にとっては、つい手を出したくなるような「うまいネーミング」や「宣伝文句」には、裏があるかもしれません。だまされず、賢い消費者になりたいものです。

2018-08-25 | レシピ, 陶板浴

朝の体温をアップする「カレーマフィン」

以前のブログで、「朝カレーダイエット」についてお話しましたが、朝は食欲がなくてカレーライスを食べるのはキツイという人もいるでしょう。そこで、今回は、マフィンで朝カレーを楽しむレシピを、フードアナリストの内藤朋子先生に教えていただきました。

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スパイスには代謝をあげる効果があり、体温をあげるには効率のよい調味料です。ですから、さまざまなスパイスを調合しているカレーがダイエットの一助になるというのは理にかなっています。ただ、朝から、カレーを大鍋でつくるのも、なかなか難しいですよね。

そこで、フライパンひとつでできる簡単なカレーマフィンレシピをご紹介します。ミックスベジタブルを使えば、野菜をカットする手間も省けます。ご飯に合わせてもよいのですが、今回はマフィンにサンドするレシピです。接客業など、お客様と対面するお仕事の人は、にんにくを省いて調理しても構いません。

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◎ミックスベジタブルの朝ドライカレーマフィン

材料
合挽きミンチ 100g(牛7:豚3)
玉ねぎ 1/2個
冷凍ミックスベジタブル 100g
カッテージチーズ 適宜
生姜・にんにく 小1かけ
イングリッシュマフィン 2枚
ガラムマサラ 小さじ1/2
カレー粉 小さじ1

★調味料用材料
水 150㏄
ケチャップ 大さじ1
トマトピューレ 大さじ1
カレー粉 大さじ1強

作り方
① ひき肉にカレー粉小さじ1をまぶし、味をなじませておく。
② フライパンにバター10gとみじん切りにした生姜・ニンニク・玉ねぎをいれたら、弱火で香りと甘味を引き出すようにじっくりと炒める。
③ サラダオイル小さじ1を②に加え、味付けをしておいたひき肉を加え炒め合わせる。
④ ★印の調味料用材料をすべて入れ出てきたアクを取り除く。
⑤ 凍ったままのミックスベジタブルをいれたら弱火~中火で15分程度煮込み、最後は強火で水分を飛ばす。
⑥ ガラムマサラを味を見ながら少しづつ加えて混ぜる。
⑦ 塩コショウで味を調える。
⑧ 1枚を2枚に割きこんがりと焼いたマフィンにカレーを乗せたらカッテージチーズをトッピングしてはさむ。
⑨ 冷蔵庫に残っているレタスやトマトなどの生野菜があれば、一緒にはさんでもOK。

ガラムマサラはメーカーによって調合されているスパイスが違いますから、いくつか試して好みのものを見つけるのも楽しいですよ。

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内藤朋子先生

フードアナリスト。特別な材料を使わず、誰でも簡単に作れるメニューを提案している。
食育、アンチエイジング料理など、「美と健康」を意識したレシピに定評あり。
ブログ『おいしい便り』も好評。食材や料理、先生のおすすめのお店などが紹介されています。

https://torinomama.exblog.jp

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とっても簡単でおしゃれな朝カレーマフィンのご紹介、内藤先生ありがとうございました。

一日の中で最も体温が下がるのは早朝です。夕方にかけて徐々に体温が上がり、その高低差は1℃以内が代謝には良いとされています。ですから、健康的な体温を目指すなら、何よりも朝の体温を上げて、一日の体温の高低差をできるだけ少なくしたいところです。

ですから、朝カレーで体温をあげるのは、ダイエットだけでなく平均体温アップのためにも良いと考えられます。また、主食となるご飯やパンは、できるだけ精製されていない玄米や雑穀米、全粒粉のパンなどを選ぶと、さらに基礎代謝が上がります。

また、朝は忙しく、ついつい早食いになってしまいますが、よくかんで食べることも体温アップにつがなります。かむ回数を増やす意識をしましょう。満腹中枢が刺激されて体脂肪を燃やす熱が生まれますから、肥満防止にもなります。ぜひ、チャレンジを!

2018-07-31 | 睡眠, 陶板浴

睡眠負債が肥満と生活習慣病の原因に!ブルーライトは睡眠2時間前にシャットアウトしよう

睡眠が健康を守るうえで大切なのはご存知の通りです。

しかし、インターネットの発達で、深夜でも世界中の人とつながり、動画やゲームが楽しめる今、ついつい夜更かししてしまうと言う人も少なくないでしょう。最近は「睡眠負債」という言葉も流行しているほどで、万年睡眠不足の人がとても増えているそうです。

そこで今回は、近著「本当に怖いキラーストレス」(PHP新書)が話題を呼んでいる、精神科医の茅野分先生に、睡眠と健康についてお話を伺いました。

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世界で一番過酷な拷問は「眠らせないこと」というのをご存知でしょうか。小さな刺激を与え続け、眠らせないようにすると、一週間以内に人は亡くなってしまうのだそうです。マウスによる実験では、睡眠をとらせないと、脳の脳幹という部分に障害が現れ、体温調整などに異常をきたし、死んでしまうことがわかっています。

眠気が起きるのは、脳を休めるために、脳自身が「眠ってくれ」と合図を出すからです。この指令があるからこそ、思考や行動を停止し、休む体制に入ることができます。ところが、その指令に逆らって、目や耳からの刺激を受け続けたり、思考を繰り返したりしてしまうと、脳はあきらめて活動モードにスイッチを切り替え、心拍数や血圧を上げて、体を興奮状態にさせます。

強い眠気が襲ってきても、一旦我慢して活動を続けると、眠気が飛んでしまうのはこのためです。こうした状態を続けていると、いざ眠ろうとしてもなかなか寝付けなくなったり、眠ったつもりでも浅い眠りになってしまったりと、睡眠の質が悪くなってしまいます。

こうしたことが続くと、脳も疲労し、神経回路に異常が発生します。その結果、仕事でミスを連発したり、記憶力が低下したり、判断能力が鈍ってきたりします。

また、睡眠時間が短くなると、食欲を抑制する「レプチン」というホルモンの分泌が減少し、逆に食欲を高める「グレリン」というホルモンの分泌が上昇することがわかっています。寝不足の状態が二日続いただけでも、これらのホルモン分泌の影響によって食欲のコントロールが効かなくなり、食べすぎを起こすことになります。

そのため、慢性的な寝不足が続くと、糖尿病や心疾患などの生活習慣病にかかりやすくなってしまうのです。

極端なデータになりますが、厚生労働省の研究班による発表では、自殺を試み、救命救急センターに運ばれた自殺未遂者を調査したところ、初めて自殺を試みた人の84%が睡眠不足を自覚しており、平均睡眠時間は4~6時間、就寝時間の平均は午前1時10分だったそうです。

こうした調査結果を踏まえても、睡眠時間を確保することが、肉体的にも精神的にも健康であるための基本になることがわかります。

では、睡眠時間はどれくらいが適切かという話になりますが、「もっとも死亡率が低い睡眠時間は7時間である」という研究結果が明らかになっています。短すぎも長すぎも健康に影響を与えるのです。

 

大規模コホート研究「JACC Study」
研究代表者:玉腰暁子(北海道大学大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野)より

 

睡眠時間の確保とともに、眠りの質を高める工夫することも、健康のためには大切です。前述した通り、近年はパソコンやスマホから深夜まで離れられない人が多いと思うのですが、画面から発せられるブルーライトは、人の目で認識できる光の中で最も波長が短く、大変強いエネルギーを持っており、私たちの体内時計を狂わせる力があるのです。

この強い光刺激を網膜が受けると、「ガングリオンセル」という視細胞が光を感知し、脳の視床下部にある視交叉上核と呼ばれる部分に情報を伝えます。体内時計を司る視交叉上核は、ブルーライトの光刺激を「朝の太陽に光」と勘違いして「メラトニン」の抑制を指示します。

睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まると、体は活動モードに入り、14~15時間後、メラトニンの分泌が自動的に再開され眠くなるのです。ですから、深夜までブルーライトの刺激を受けていると目が冴えてしまい、眠れなくなったり、眠っても深い睡眠に入れなくなったりします。また、寝入ってから14時間後に急激な眠気に襲われ、日中の活動に悪影響を及ぼしてしまいます。

健康的な体と精神状態を維持するためにも、眠る2時間前にはスマホやパソコンの画面から離れて、静かな音楽を聴くなど、脳をリラックスさせることが大切です。

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茅野 分(ちの ぶん)先生

銀座泰明クリニック院長。群馬大学医学部卒業後、同大学付属病院、前橋赤十字病院、佐久総合病院にて精神医療・身体医療、救急医療・地域医療等に従事。慶応大学病院精神神経科を経て、平成18年銀座泰明クリニックを開院。現在、医療法人社団泰明理事長。ビジネスパーソンのメンタルヘルスに精通し、とくにうつ病、依存症、発達障害については多方面より取材を受けている。近著「本当に怖いキラーストレス~頑張らない、あきらめる、空気を読まない」が話題となっている。

2018-07-24 | レシピ, 陶板浴

夏バテに負けるな!栄養価の高い夏野菜で暑い季節を乗り越えよう!

温帯地域だったはずの日本列島が亜熱帯かと思えるような猛暑が続いています。暑さで食欲が衰え夏バテになる人も多いことでしょう。いつもは体を温める提言しているこのブログですが、今回は上手に体をクールダウンし、夏バテを防止するパワーを秘めた野菜を紹介します。

夏に多く収穫できる代表的な野菜は、トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、オクラ、トウモロコシ、枝豆などありますが、どれもほてった体を冷やす効能を持っています。また、メラニンの生成を抑え、美肌効果にも期待ができます。

夏は食欲が低下しますが、夏野菜には火を通さず食べられる野菜も多く、ビタミンを壊さないで得られるのも特徴です。

最近は、ビニールハウス栽培や水耕栽培など、農業の技術発展にともない、夏野菜が一年中、スーパーで売られるようになっていますが、やはり旬の時期に食べるのがもっとも適しています。

旬ではない時期に収穫される野菜は、見た目はそれほど変わらなくても、栄養価が下がっていることが多いのです。ある調査によれば、ニンジンのカロテンの含有量は、6月に収穫したものと1月に収穫したものでは2.5倍、トマトでは7月と11月で2倍もの差があったと言います。

数十年前の野菜に比べて現在の野菜には栄養価が少ないという表現をする人もいますが、同じ時期に収穫されたものであれば、昔も今も栄養価はそれほど変わらないことがはっきりしているのです。

新鮮な夏野菜をたくさん食べて、暑い夏を乗りきりましょう。

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●代表的な夏野菜の栄養と簡単レシピ

【トマト】

トマトの赤い色に含まれているリコピンは抗酸化作用が強く、老化防止だけでなく、美白効果やがん予防にも期待できます。
★ビタミンAとCが豊富なので、ビタミンEが豊富なオリーブオイルと一緒に摂れば効果てきめんで、夏のサラダにぴったりです!

【キュウリ】

主成分の90%は水分ですので、汗をかいて不足した水分の補給に役立ちます。キュウリに多く含まれているカリウムには利尿作用があるので、むくみ解消にもなるでしょう。
★キュウリにはビタミンCを壊してしまう酵素が含まれていますが、酢にその酵素の働きを抑える作用があるので、酢の物がおすすめです。サラダには市販のドレッシングより、酢とエゴマオイル、塩コショウでつくった手作りドレッシングがおすすめです。

【ピーマン】

ピーマンにはトマトの4倍もビタミンCが含まれています。ビタミンCは、メラニン色素の沈着を防ぎ、コラーゲンの合成を助けるため、強い紫外線を受けた肌のダメージを和らげます。皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAも豊富で、夏風邪予防にも効果があります。さらに、ピーマンの独特な香りの元であるピランジンは、血液をサラサラにして血栓を防ぐ効果にすぐれています。
★組織が強く加熱しても栄養素が壊れにくいため、炒めても安心して食べられます。しかもビタミンAは油と一緒にとることで吸収率が高まる栄養素。豚肉やもやしなどと一緒に炒めたら夏バテ防止の一品に。

【ナス】

「秋茄子は嫁に食わすな」と言われるくらい、ナスは古くから体を冷やす作用があるといわれ、実際ナスにはカリウムが多く含まれていて利尿作用があります。また、胃液の分泌を促すコリンという水溶性ビタミン様物質を含んでおり、食欲不振の解消に役立つと考えられています。そして表面の紫色の色素はナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種。抗酸化作用にすぐれ、生活習慣病予防にも効果が高いと言われています。
★ナスにはタンパク質が少ないので、ひき肉のはさみ揚げや麻婆茄子などお肉と一緒に調理するのがベストです。体を冷やしてしまうナスと体を温める生姜はセットで使うことをオススメします。

【ゴーヤ(ニガウリ)】

ビタミンCを豊富に含む他に、ビタミン、ミネラルをバランスよく含みます。汗とともに失われがちなカリウムの含有量も多く、夏バテ予防におすすめの夏野菜です。また、ゴーヤ独特の苦味成分モモルデシンには、血糖値や血圧を下げる作用があり、食欲を刺激して夏バテ予防に働きかけます。
★食べ方は言わずと知れたゴーヤチャンプルーでしょう、苦味が苦手な人は中の白い綿部分を取り、塩もみすることで和らぎます。

【トウモロコシ】

タンパク質と糖質が主成分で、野菜の中では高カロリーなので、食欲がない時の間食におすすめです。ビタミンE、B1、B2、カリウム、亜鉛、鉄など、ミネラルをバランス良く含んでいるため、夏バテ対策への期待が高い夏野菜。また、食物繊維が豊富なので、腸内環境を整える効果もすぐれています。
★収穫後24時間経つと栄養が半減し味も落ちるため、購入後は早めに食べ切って下さい。

【モロヘイヤ】

βカロテン、ビタミンEの含有量は野菜のトップクラス。ビタミンB2はほうれん草の20倍、カルシウムもほうれん草の7倍も含まれていて野菜の王様とも言われています。またモロヘイヤのネバネバ成分には、糖分やコレステロールの吸収を抑える働きをはじめ、便秘改善、肥満予防などの効果があります。
★サッと湯がいておひたしやスープに入れるのが手軽です。また、包丁で叩いてねばりを出せば、さまざまな料理のアクセントとして応用がききます。納豆に混ぜる、冷ややっこにのせる、味噌汁に入れるなど、活用の幅が広いのも特徴です。

紹介した夏野菜はほんの一部です。食欲の落ちるこの季節はあっさりとした食事を選びがちですが、バランスの良い栄養を摂るためにもたくさんの夏野菜を食べて暑さに負けない健やかな体をつくりましょう。

2018-06-30 | レシピ, 陶板浴

暑い夏は、体を冷やし過ぎない「紅茶」で水分補給

じめじめと鬱陶しい梅雨も開け、本格的な夏に突入しました。

ここ最近の日本の夏は、30度を超える真夏日は普通のことで、35度を超える猛暑日も頻繁に観測されるようになり、まるで亜熱帯気候の帯に入ってしまったかのようです。

異常な暑さの外気温と、冷房で冷えすぎた室内。この温度差だけでも体にはこたえるのですが、さらに難しいのが熱中症対策のための水分補給です。氷の入った冷たい飲み物で、一気に喉を潤したいと思うところですが、飲み物によっては体を冷やし過ぎて、体調を崩す原因になってしまうので注意が必要です。また、糖分の多すぎる飲料は、かえって喉の渇きを促進させますし、血糖値を急上昇させてしまうので、生活習慣病の原因にもなってしまいます。

たとえば、甘い味のついた市販の清涼飲料水には、驚くほどたくさんの糖分が入っていることがあります。350ミリリットルの缶コーラには40グラム(角砂糖約10個分)、果汁100%のジュースにもほぼ同量の糖分が含まれています。清涼感を味わうためとはいえ、これでは体に良いわけがありません。夏を乗り切るためには、「体を冷やさない飲み物」を選ぶ必要があるのです。

しかし、激しい運動をせず、室内で過ごす場合でも、体重50キログラムの人で一日に2リットル、体重70キロの人では一日に3リットルの水分補給が必要だと言われています。これだけの量をミネラルウォーターだけで摂るのはつらいという人もいるでしょう。そこで、おすすめするのが糖分を加えていないお茶です。

お茶には大きく分けて「緑茶」「青茶」「紅茶」「黒茶」の4種類あり、色の違いは発酵の熟成度の違いです。発酵の熟成度が高い茶葉ほど、体を温める効果があります。

 

・「緑茶」は普段日本人が飲み慣れた物で無発酵のお茶

・「青茶」はウーロン茶や鉄観音茶など、半発酵させたもの

・「紅茶」は乾燥させた茶葉を発酵させたお茶

・「黒茶」の代表はプーアール茶。麹菌で数か月発酵させています

 

こうしてみると、黒茶がもっとも体を温めるのですが、独特のカビのような香りがあり、苦手な人も多いでしょう。脂肪分解成分が含まれており、ダイエットに効果があると言われますが、夏場の水分補給であれば、紅茶がもっとも適していると言えます。

茶葉にはカテキンが含まれているとよく言われますが、カテキンとはポリフェノールの一種でお茶の渋みの主成分のことで、タンニンと呼ばれることもあります。カテキンには抗菌作用があり、食品が痛みやすい夏場において、お茶は食中毒予防にも効果があると言われています。風邪などのウイルスにも効果を発揮するので、何となく喉がいがらっぽく感じるときには、さめた紅茶でうがいをするのもおすすめです。

また、紅茶のポリフェノールは、血糖値を抑制するとも言われていますから、スイーツなどを食べるときの飲み物としても紅茶はうってつけです。ほかにも、紅茶が体に良いとされる研究結果は多々あり、血圧が上昇するのを抑制する、卵巣がんのリスクを減らす、肌の老化を防ぐなどの効果が発表されています。

また、紅茶は胃液の分泌を良くするので、食欲を増進します。ただし、夏の弱った胃には、胃液が胃壁に刺激を与えすぎることもあるので、空腹時に大量に飲むよりは、食事や軽食と一緒に飲むのが理想的です。

というわけで今回は体を温める効能も高く、馴染みのある「紅茶」を、美味しい飲み方を紹介します。

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◎水出しアイスティー

冷蔵庫に一晩(8~10時間)おくだけで、カフェインの少ない優しい風味のアイスティーが味わえます。
・フタ付きボトルに、ティーバッグ3〜4個(茶葉10グラム)を入れ、水1リットルを注ぎ、冷蔵庫に寝かせるだけで完成。
・茶葉を取り出しその日のうちに飲みきってください。※煮沸していないので、翌日まで持ち越さないようにしてください。

◎氷出しアイスティー

作ったその場で味わえる香り豊かでフレッシュなアイスティーです。
・温めたポットの底に茶葉3~6グラムを入れ、茶葉を浸す程度に熱湯を注ぎます。
・蓋をして3分間蒸らしたら、氷を約100グラム加え、軽く混ぜ5~10分待ちます。
・好みで冷水を加え、グラスに注いでいただきましょう。

◎煮出しアイスティー

麦茶の要領でハーブティーを作ってみましょう。
・しっかり沸騰させたお湯に茶葉を入れ、2~3分ほど弱火~中火で吹きこぼれないように加熱。
・蓋をしたまま放置して粗熱が取れれば完成です。

変わり種としてスムージーもひとつ紹介します。

◎アイスバナナミルクティスムージー

夏バテした体に、即効性のある、疲れを取るドリンクです。
・通常の2倍の茶葉を使い、しっかり濃いめに抽出した紅茶に牛乳を注ぐ
・ミルクティーに輪切りのバナナと氷を加えミキサーで撹拌します。

紅茶は体を温めると同時に、脂肪を燃やす効果があるのでダイエットをしている人にも最適です。

ただし、過ぎたるは及ばざるがごとしで、飲みすぎると紅茶に含まれるカフェインが下痢や便秘を引き起こす原因になることもあります。その他にも紅茶に含まれているタンニンは体内で鉄分と結合し貧血になる場合もありますので、くれぐれも過剰摂取には気をつけましょう。

2018-06-24 | 全身疾患, 陶板浴

飛行機に乗っていなくても「エコノミー症候群」に見舞われることがある

「静脈血栓塞栓(そくせん)症」をご存知でしょうか。

一般的には「エコノミー症候群」と言われている病気で、サッカーの2002W杯日韓大会に、当時エースとして活躍していた高原直泰選手が、「エコノミー症候群」にかかり、出場できなくなってしまったことを思い出す人もいるかもしれません。その話題から、一躍、病名が世の中に浸透しました。

高原選手もそうでしたが、この病気は飛行機でのフライト後、歩き始めた途端に急に呼吸困難になり胸が痛み出すのが特徴です。ときにはショックで急死することもあるという大変怖い病気です。飛行機のエコノミークラスなど長時間同じ姿勢のままでいることで、足の血液の流れが悪くなり静脈の中に血の塊(静脈血栓)が出来ることがあります。この血栓が歩き始めたことをきっかけに、足の血管から離れ、血液を巡り肺に到着し、肺の静脈を塞いでしまうことで発症するのです。

「エコノミークラス」と名前がついていることで、狭い座席だから発症すると思われがちですが、実は、ビジネスクラスや列車旅行など、座席にゆとりがあっても発症することがありますし、長距離トラックの運転手が発症するケースも報告されています。

また、オフィスで座り仕事の多い人にもその危険性があり「飛行機に乗らないから平気」と、安心してはいけません。

 

◉そもそもこんな人は要注意!

中高年(50歳以上の人に多く発症しています)

肥満(脂肪が血管を圧迫し血流が悪くなり血栓ができやすくなります)

糖尿病、高脂血症、高血圧など生活習慣病の人(血管内壁が傷ついているため)

激しいスポーツをしている人(サッカー、格闘技など)

※他には経口避妊薬など血が固まりやすい薬を飲んでいる人などもなりやすいと言われています。

 

◉原因

長時間の足の運動不足(座ったままでいると血液の流れが滞ってしまい、血液の塊ができやすくなります)

乾燥(機内の湿度は5~15%とかなり乾燥した状態で、水分を補給しないと血液が濃くなり血栓ができやすくなります)

 

◉予防法

水分補給(1時間毎にコップ半分ほどの水分を補給する)

足の運動(1〜2時間毎に屈伸運動など軽いストレッチを行う)

ふくらはぎをマッサージする

・その他、体を締め付ける服を避け、ゆったりした衣服を着る。

 

血管に異常のある病気の人などが「静脈血栓塞栓症」になることが多いのは当然ですが、プロアスリートなど健康な人も含め、どんな人も発症する危険性があるのがこの病気です。特に冷房の効いた室内にいることの多い人は、原因を知り日々の予防に心がけましょう。

夏休みやお盆などで長く乗り物に乗る機会も多い季節、座ったままでも一時間に一度は「かかとの上下運動」を行うなど、とにかく足を動かし、適度な水分を取ることを忘れずに。トイレは我慢せず席を立つチャンスにしましょう。

普段は忘れがちだけどかかると厄介な病気でもある「エコノミー症候群」。自分自身だけではなく身近なご家族にも注意を呼びかけてください。

2018-05-31 | 代謝アップ, 陶板浴

朝カレーは本当にダイエットに効果があるのか? 香辛料の代謝効果に迫る!

このところ「朝カレーダイエット」が話題を集めています。朝、カレーを食べると新陳代謝が上がり、減量につながるというのです。

タレントのバービーさんがテレビ番組の企画で「朝カレーダイエット」を実践したところ、85日間で体重マイナス20キログラム以上、体脂肪もマイナス11%以上を達成したそうです。食事は「朝ごはんをカレーと200グラムのご飯にする」以外は、昼と夜は何を食べてもOK。ただし、腹八分目までというのが条件だったようです。

後半はエクササイズも追加していたようなので、朝カレーだけでやせたというのは言い過ぎかもしれませんが、ともかく、朝食をカレーにしたことで、減量が達成できたというのは、驚くべき話です。

では、カレーには本当に新陳代謝をアップさせる効果があるのでしょうか。フードアナリストの内藤朋子先生に伺ってみました。

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カレーが代謝に良いと言われるのは、他種類の香辛料が使われているからです。

たとえば、唐辛子には「カプサイシン」という成分が入っています。ピリッとした辛味のもとになるものですが、カプサイシンを摂取すると脳内で「アドレナリン」というホルモンが分泌されることがわかっています。アドレナリンは交感神経を働かせ、体温を上昇させ発汗を促します。すると、脂肪をエネルギーに変換する代謝が盛んに行われ、脂肪が燃焼するという仕組みです。

他にも、カレーに使われる代表的な香辛料の中には、代謝をアップするものがたくさんあります。ターメリック(うこんとも呼ばれます)は唐辛子と同じように脂肪を燃やし、肝臓の機能を高めることで代謝を上げます。

カルダモンは、体を温めることで有名なショウガ科の一種で、整腸や解毒作用によって、体内の毒素を排出する助けをしてくれます。また、気持ちをリラックス効果もあると言われています。

強い香りと、苦味や辛味が特徴のクミンは、食欲の増進と消化促進に効果があります。古代エジプト時代から、美容と健康のために使われてきたスパイスで、近年はコレストロールの抑制にも関与しているのではないかと言われています。

甘みと香りのスパイスであるクローブは、抗酸化作用があり、血流を良くすることでも知られていますし、胃腸を整え、内側から体をポカポカと温める効果もあります。

カレー作りでは、カラムマサラを使用する人も多いと思いますが、ガラムマサラは、シナモン、クローブ、ナツメグ、コショウ、ローリエなどを調合したもので、ものによって配合が異なります。ですから効能は一定ではありません。

これらの香辛料が使われたカレーであれば、新陳代謝を上げる効果は得られて当然です。食べた直後から汗が吹き出す人や、消化が良くなり便通が促される人もいるはずです。ただし、香辛料の取り過ぎには注意が必要です。代謝がいっきに上がり、その後急降下するのは体にとって負担になります。香りと味を楽しむために、適量を使用するようにしてください。

市販の「ルウ」にも香辛料は入っているので、代謝という面だけを見れば、効果を得ることはできると思います。しかし、ルウは油脂を大量に使用しているので、毎朝食べるには不向きかもしれません。

もし、朝カレーを実践するなら、自身でスパイスを調合して、味と香りに変化をつけて、飽きないようにするのが良いでしょう。また、香辛料は食欲を増進させるので、食べ過ぎには注意してください。白米は200グラムくらいを目安に。玄米や雑穀米を取り入れてみるのもおすすめです。

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内藤朋子先生

フードアナリスト。特別な材料を使わず、誰でも簡単に作れるメニューを提案している。食育、アンチエイジング料理など、「美と健康」を意識したレシピに定評あり。ブログ『おいしい便り』も好評。食材や料理、先生のおすすめのお店などが紹介されています。

https://torinomama.exblog.jp

2018-05-25 | 低体温, 陶板浴

クーラーに頼りすぎず、「汗をかく」という人類の進化を有効活用して免疫力を上げよう

気温が高くなってくると、汗をかくのが不快と感じる人も多いでしょう。服に汗ジミができたり、匂いが気になったり。女性の場合はメークの崩れも気になるところです。

最近は、汗をかくことを嫌って、一日中、クーラーのきいた快適な室内で生活する人も増えてきましたが、クーラーが普及する数十年前までは、人間は汗をかくことで涼を得ていました。汗をかいたら、うちわや扇風機などの風を浴び、蒸発する気化熱によって体の表面温度を下げるようにしていたのです。つまり汗をかくことそのものが、涼しさを得る方法だったのです。

では、クーラーを使って快適に過ごすのと、汗をかいて気化熱を利用するのと、どちらが体にとって好ましい涼のとり方なのでしょうか。

その答えは、人類の進化の過程をたどってみるとはっきり見えてきます。

動物の中で汗をかくのは人間だけ。

もし、そう思われているとしたら間違いです。実際には、犬猫馬などの身近な動物も汗をかいています。馬は人間と同様の汗腺が全身にあり、人間に近い汗のかきかたをしています。走り終えた競走馬の体からは水蒸気が見えるほどです。

犬や猫も汗をかいていますが、人間と同じような汗腺があるのは足の裏や鼻の頭だけ。その他の場所にある汗腺は、体温調節のためにではなく、ある種のフェロモンを放出するためのもので、動物同士のコミュニケーションツールとしての役割をしています。ですから、暑いときに、犬は舌を出してハァハァしますし、猫は全身を舐めて体温の調節をする必要があるのです。

つまり、皮膚から汗をかいて体温調節ができるのは人間と馬くらい。ほとんどの動物は汗をかくことで体温調節ができないために、暑い日中にたくさん運動をして体温が上がりすぎてしまうと、熱中症になってしまう可能性があります。そのため、アフリカのサバンナにいる野生動物の多くが夜行性という進化を選んだのです。

人間が皮膚で汗をかくようになったのは、進化の過程で、生活の場を木の上から草原に移し、二足歩行をするようになったからだと言われています。同時に厚い毛皮を脱ぎ捨て、素肌をさらすようになりました。

人間は、サバンナを駆け回る野生動物のような速い早い足も、屈強な牙も爪も持ちませんが、動物を長時間辛抱強く追い回すという方法の狩りを考案しました。汗をかかない野生動物たちは、長時間走り続けると、体の中に熱がこもり熱中症を起こし、走ることができなくなってしまうのですが、汗腺を手に入れた人間は、熱中症を避けて日中でも動き回ることができるようになったのです。現代人がマラソンのような長距離を走り続けられるのも、毛皮をまとわず、汗腺を使うという進化をしたおかげなのです。

私たちの先祖は、生きるために「汗をかく」体を手に入れましたす。ですから、暑すぎるから、快適だからといって、一切汗をかかない環境の中に身を置き続けてしまうと、生物としての大切な本能を封印することになってしまいます。

こうした現代的な生活様式は、私たちの体に本来備わっている、免疫力や抵抗力を低下させる原因になってしまいます。また、体温の低下、血圧の上昇や下降、消化吸収など、さまざまな、生物的機能にも影響が起こってしまいます。

確かに汗をかくのは不快ですが、日中は体が冷えるようなクーラーの温度設定をせず、薄っすらとかく汗を、扇風機の風で蒸発させるような環境をつくることが大切です。そして、脱水症状にならないよう、出た汗の分の水分を十分に摂取するようにしたいものです。

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