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2018-05-25

クーラーに頼りすぎず、「汗をかく」という人類の進化を有効活用して免疫力を上げよう

気温が高くなってくると、汗をかくのが不快と感じる人も多いでしょう。服に汗ジミができたり、匂いが気になったり。女性の場合はメークの崩れも気になるところです。

最近は、汗をかくことを嫌って、一日中、クーラーのきいた快適な室内で生活する人も増えてきましたが、クーラーが普及する数十年前までは、人間は汗をかくことで涼を得ていました。汗をかいたら、うちわや扇風機などの風を浴び、蒸発する気化熱によって体の表面温度を下げるようにしていたのです。つまり汗をかくことそのものが、涼しさを得る方法だったのです。

では、クーラーを使って快適に過ごすのと、汗をかいて気化熱を利用するのと、どちらが体にとって好ましい涼のとり方なのでしょうか。

その答えは、人類の進化の過程をたどってみるとはっきり見えてきます。

動物の中で汗をかくのは人間だけ。

もし、そう思われているとしたら間違いです。実際には、犬猫馬などの身近な動物も汗をかいています。馬は人間と同様の汗腺が全身にあり、人間に近い汗のかきかたをしています。走り終えた競走馬の体からは水蒸気が見えるほどです。

犬や猫も汗をかいていますが、人間と同じような汗腺があるのは足の裏や鼻の頭だけ。その他の場所にある汗腺は、体温調節のためにではなく、ある種のフェロモンを放出するためのもので、動物同士のコミュニケーションツールとしての役割をしています。ですから、暑いときに、犬は舌を出してハァハァしますし、猫は全身を舐めて体温の調節をする必要があるのです。

つまり、皮膚から汗をかいて体温調節ができるのは人間と馬くらい。ほとんどの動物は汗をかくことで体温調節ができないために、暑い日中にたくさん運動をして体温が上がりすぎてしまうと、熱中症になってしまう可能性があります。そのため、アフリカのサバンナにいる野生動物の多くが夜行性という進化を選んだのです。

人間が皮膚で汗をかくようになったのは、進化の過程で、生活の場を木の上から草原に移し、二足歩行をするようになったからだと言われています。同時に厚い毛皮を脱ぎ捨て、素肌をさらすようになりました。

人間は、サバンナを駆け回る野生動物のような速い早い足も、屈強な牙も爪も持ちませんが、動物を長時間辛抱強く追い回すという方法の狩りを考案しました。汗をかかない野生動物たちは、長時間走り続けると、体の中に熱がこもり熱中症を起こし、走ることができなくなってしまうのですが、汗腺を手に入れた人間は、熱中症を避けて日中でも動き回ることができるようになったのです。現代人がマラソンのような長距離を走り続けられるのも、毛皮をまとわず、汗腺を使うという進化をしたおかげなのです。

私たちの先祖は、生きるために「汗をかく」体を手に入れましたす。ですから、暑すぎるから、快適だからといって、一切汗をかかない環境の中に身を置き続けてしまうと、生物としての大切な本能を封印することになってしまいます。

こうした現代的な生活様式は、私たちの体に本来備わっている、免疫力や抵抗力を低下させる原因になってしまいます。また、体温の低下、血圧の上昇や下降、消化吸収など、さまざまな、生物的機能にも影響が起こってしまいます。

確かに汗をかくのは不快ですが、日中は体が冷えるようなクーラーの温度設定をせず、薄っすらとかく汗を、扇風機の風で蒸発させるような環境をつくることが大切です。そして、脱水症状にならないよう、出た汗の分の水分を十分に摂取するようにしたいものです。

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