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全身疾患
2018-06-24 | 全身疾患, 陶板浴

飛行機に乗っていなくても「エコノミー症候群」に見舞われることがある

「静脈血栓塞栓(そくせん)症」をご存知でしょうか。

一般的には「エコノミー症候群」と言われている病気で、サッカーの2002W杯日韓大会に、当時エースとして活躍していた高原直泰選手が、「エコノミー症候群」にかかり、出場できなくなってしまったことを思い出す人もいるかもしれません。その話題から、一躍、病名が世の中に浸透しました。

高原選手もそうでしたが、この病気は飛行機でのフライト後、歩き始めた途端に急に呼吸困難になり胸が痛み出すのが特徴です。ときにはショックで急死することもあるという大変怖い病気です。飛行機のエコノミークラスなど長時間同じ姿勢のままでいることで、足の血液の流れが悪くなり静脈の中に血の塊(静脈血栓)が出来ることがあります。この血栓が歩き始めたことをきっかけに、足の血管から離れ、血液を巡り肺に到着し、肺の静脈を塞いでしまうことで発症するのです。

「エコノミークラス」と名前がついていることで、狭い座席だから発症すると思われがちですが、実は、ビジネスクラスや列車旅行など、座席にゆとりがあっても発症することがありますし、長距離トラックの運転手が発症するケースも報告されています。

また、オフィスで座り仕事の多い人にもその危険性があり「飛行機に乗らないから平気」と、安心してはいけません。

 

◉そもそもこんな人は要注意!

中高年(50歳以上の人に多く発症しています)

肥満(脂肪が血管を圧迫し血流が悪くなり血栓ができやすくなります)

糖尿病、高脂血症、高血圧など生活習慣病の人(血管内壁が傷ついているため)

激しいスポーツをしている人(サッカー、格闘技など)

※他には経口避妊薬など血が固まりやすい薬を飲んでいる人などもなりやすいと言われています。

 

◉原因

長時間の足の運動不足(座ったままでいると血液の流れが滞ってしまい、血液の塊ができやすくなります)

乾燥(機内の湿度は5~15%とかなり乾燥した状態で、水分を補給しないと血液が濃くなり血栓ができやすくなります)

 

◉予防法

水分補給(1時間毎にコップ半分ほどの水分を補給する)

足の運動(1〜2時間毎に屈伸運動など軽いストレッチを行う)

ふくらはぎをマッサージする

・その他、体を締め付ける服を避け、ゆったりした衣服を着る。

 

血管に異常のある病気の人などが「静脈血栓塞栓症」になることが多いのは当然ですが、プロアスリートなど健康な人も含め、どんな人も発症する危険性があるのがこの病気です。特に冷房の効いた室内にいることの多い人は、原因を知り日々の予防に心がけましょう。

夏休みやお盆などで長く乗り物に乗る機会も多い季節、座ったままでも一時間に一度は「かかとの上下運動」を行うなど、とにかく足を動かし、適度な水分を取ることを忘れずに。トイレは我慢せず席を立つチャンスにしましょう。

普段は忘れがちだけどかかると厄介な病気でもある「エコノミー症候群」。自分自身だけではなく身近なご家族にも注意を呼びかけてください。

全身疾患を引き起こす「歯周病」。冷え性の人は「歯周病」になりやすい!?

歯と全身の疾患について研究している歯科のドクターとお話をする機会を得ました。噛み合わせ、虫歯、歯周病など、歯の問題は、さまざまな病気と深い関連があるそうですが、今回は歯周病全身疾患の関係について教えていただいたことを紹介します。

私たちの口の中には、常に500種類近い細菌がいるそうです。これらの菌が、甘い食べ物や、いつまでも口の中に残った食べカスと反応すると歯垢と呼ばれるものになります。

歯垢はベタベタ、ネバネバしていて、歯磨きでは落としきれず、歯の表面や、歯と歯肉の間にくっつきます。この歯垢が、歯と歯肉のあいだにある「歯肉溝」に溜まると、細菌が住み着き炎症を起こします。これが歯周病の始まりです。

さらに症状が進むと、溝が深くなり、歯周ポケットと呼ばれるようになり、やがて、歯を支える骨を溶かしてしまいます。歯を失う原因になってしまうのですね。

口の中で起きる歯周病ですが、恐ろしいことに「歯周病菌」は口の中だけにとどまりません。歯茎にある毛細血管に入り込み、全身に運ばれてさまざまな病気の原因になってしまうのだそうです。

たとえば心臓の病気。

狭心症や心筋梗塞は、血液がドロドロになったり、血管が狭くなる「動脈硬化」が起きたて、心筋に血液が届かなくなって心臓が止まってしまう可能性のある病気です。主な原因は、食事や生活習慣にあると言われてきましたが、近年研究が進み、

動脈硬化は歯周病菌などの細菌感染が原因

と、言われるようになってきました。歯周病菌が歯茎の毛細血管から動脈に入り、血管の壁に沈殿して「プラーク」と呼ばれるものになります。このプラークが剥がれて血管をふさいだり、狭くしたりすることで動脈硬化が起きてしまうのだそうです。

脳の病気も歯周病との関連がささやかれています。

歯周病菌のプラークが脳の血管まで流れてきて、脳の血管を詰まらせると、脳梗塞の原因になります。

歯周病の人は脳梗塞になる確率が2.8倍!

と言われているそうです。

糖尿病と歯周病は密接な関係があり

糖尿病の合併症は歯周病。

歯周病の人は糖尿病になりやすい。

と、相互関係があるのだそうです。歯周病は「菌」ですが、血管に入ると死滅してしまいます。しかし、その死骸が身体の中で悪さをするのです。血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを邪魔して、糖尿病の症状を悪化させることもあります。

難しい話は省きますが、歯周病という「菌」が、歯肉の毛細血管から入り込むということは、私たちの血液が「菌」で汚されるということです。食事に気をつけて、規則正しい生活をしていても、歯茎から「菌」を取り入れてしまえば、血液が汚れてしまう。怖いですね。

では、歯周病の原因は?と、ドクターに質問すると…

まずは、歯と歯肉の境目の汚れ。これは、常識ですね。歯と歯肉のあいだにある「歯肉溝」に汚れを残さないことが一番です。歯と歯肉の境目をしっかりブラッシングして、細菌をためないようにしましょう。

歯ぎしりや、くいしばり、かみしめなど、歯肉によけいな力が加わることも原因の一つだそうです。眠っている間や、無意識のうちに歯をかみしめる癖のある人は、マウスピースを作成してもらって、歯肉の負担を減らしたほうが良いそうです。

また、合っていない義歯や被せ物、歯が不足している人も歯周病になりやすいそうです。

他にも、喫煙や薬の副作用などが原因になることもあるそうですから、思い当たる人は歯医者さんでチェックしてもらいましょう。

そして、今回、とっても驚いたことに、歯周病の原因として「冷え」が関連しているということ。

身体が冷えると、歯茎の血行も悪くなります。歯茎には細い毛細血管がたくさんありますが、冷えて血行が鈍ると、歯肉の免疫機能が衰えるというのです。

普段なら自分の免疫機能で排除できる歯周病菌であっても、血行不良を起こしていると、菌の力に負けてしまうのです。歯周病菌は「今がチャンス!」とばかりに、歯肉の中に住み着き、炎症を起こしていきます。疲れているときや、寝不足のときに「歯茎がうずく」なんて言う人は、歯周病菌が住み着いていて、体力が弱ったのを良いことに歯周病菌が活動を始めた可能性があるそうです。

そうした経験のある人は、必ず歯科検診をうけてください。歯周病のチェックをしてもらい、治療やセルフケアをスタートさせましょう。

では、歯周病を予防するために、歯茎の血行を良くする方法は?

最初に思いつくのは「歯茎のマッサージ」ですよね。

でも、歯ブラシで歯茎を刺激するのはおすすめできないそうです。歯と歯肉の間をブラッシングして汚れをかき出すことは必要ですが、歯茎そのものをブラッシングすると、歯茎が下がってしまいます。マッサージをするのであれば、清潔にした指で、歯肉を軽くなでるくらいで十分です。力を入れすぎないようにしましょう。

一番のおすすめは、身体の中を温めること。

歯周病予防のために、身体の免疫力を上げるには、体温37℃が目標です。入浴で全身を温め、身体を冷やす食べ物は避けましょう。そして血液から温めるのであれば、陶板浴が最適です。